慶進中学校が体系数学(数研出版による中高一貫校向け教科書)を2011年に導入し、早5年ほどが過ぎました。
導入した当初は、「使いこなせるのか」、「3年で元に戻るだろう」など、教材業者の間では否定的な声があったようですが、随分と定着したように思います。そのため、学校側も相当努力されたことと推測します。
体系数学とは、2冊(2年間)で公立中学の3年間の数学を、基礎から高い水準(公立水準をはるかに超える水準)まで履修できるように編集された教科書とその専用問題集からなります。
したがって、2年間で中学数学を(しかも、高校数学につなげられる形で)完全に終え、中学3年生から完全に高校数学に入ります。つまり、丸々1年間前倒しで高校数学が学習できるメリットが受けられるわけです。
ただ、本当の意味で中高一貫のメリットを享受するには、このようなボリュームやスピードをこなせる、生徒自身の能力や努力、意欲、そして、適切な塾のサポートが伴わなければなりません(現実は、中学生の3分の2は苦戦しているのが実情かもしれません)。
慶進数学に関しては、確かに優れているのですが、そのスピードについていかせるサポートが大変なのです。そのため、塾生に対していろいろと工夫しておりますが、その基本となる軸は2つあります。
ひとつ目ですが、学校の授業が始まる前までに、塾内で公立の中級水準での理解を先に終わらせておくことにあります。
ただ、生徒一人ひとり異なる能力があり、異なるペースを求められるため、それに個別に合わせるためのシステムづくりを行い、授業で展開しています。
また最近、特に理解に時間のかかる幾何編2(図形的分野)の問題集のB・Cレベルのほぼ全ての問題について、私自身による詳細な解説の作成を終えました。
私の授業では、図をできる限り分かりやすく書き、ポイントとなる点を枠外に書き出して強調したり、例を挙げたりすることが多く、理解を促していると自負しております。
今回作成した幾何編の解説の中で、中学受験を指導する中でもよく使用する(つまり、小学生でも理解のできる)、私が勝手に名付けた「ある方法」もふんだんに盛り込んでいます。そのため、幾何で重要な比の計算については自然と理解が進み、比の計算が好きになる生徒が多いのです。
軸の2つ目は、この授業を、基礎編の履修の済んだ生徒から順に受けてもらい、スムーズな理解を促進していくことにあります。その際、問題の反復解きを支援するオリジナルのツールを活用して、学習の能率を上げています。
ちなみに、中学受験コース(小学アドバンス理数コース)を修了された生徒さんは、私の考え方を十分に理解していますので、慶進数学の「しめ」で本来難しいはずのJⅡ(中学2年)の範囲は攻略しやすいものとなるでしょう。
なお、「体系数学」は難関高校の入試対策の導入としても活用できるため(ただ、難関高校に向けては、「体系数学」でも受験対策としては不十分ですが)、私の塾では、公立生やフ大付属中学生の県外受験希望生の導入教育で活用し、効果を上げています。
慶進数学、なかなか面白いです。