(前号の続きです)
次は電池です。まずはボルタ電池の製作に取りかかりました。希硫酸(濃度3mol/L)が必要になるため、必要な濃硫酸の質量を計算してもらうことからスタートです。
硫酸の質量を塾生が計算中
実際に秤量し、水の中に徐々に入れて完成です。ここでも、濃硫酸の希釈熱による発熱が感じられ、驚きの場面となりました。また、垂れた硫酸を拭き取ったペーパータオルがみるみる黒変していく驚きの様子も観察できました。
硫酸の秤量中
硫酸を希釈し、その濃度を3mol/Lとします
硫酸により脱水され、炭素化(黒変)した紙(こげたりしたものではありません)
次は、ボルタ電池の極板となる、銅板、亜鉛版をカットします。ついでに、次に使用する鉛蓄電池用の鉛板もカットです。
銅板(保護フィルム付き)をカット中
鉛の重さ、そしてその柔らかさにも驚きです
小型のガラス容器に電極をセットし、電圧計をつないだ状態で希硫酸を注ぎます。直ちに、1.0V付近の電圧が発生したことが確認できました。しかし、あまりにも出力が弱く、接続した小型モーターすら回転させることができませんでした。
出力を活性化させる試薬(減極剤)の過酸化水素水を添加すると、電圧が回復することも確認できました。
小型のボルタ電池。原型は今から213年前(1800年)に発明されたものです
出力が弱く、モーターすら回転しませんでした
最後は鉛蓄電池の製作です。切っておいた鉛板を希硫酸に浸し、電圧をかけると陽極が徐々に酸化され、色が濃くなっていく様子を見ることができました。これは、鉛が酸化されることで生成した酸化鉛(Ⅳ)です。これで電気エネルギーが化学エネルギーとして蓄積されるわけです。
鉛蓄電池を充電中
充電後の電圧は、理論値通りの2.0Vを示しました。モーターを接続すると5秒程度ですが、勢いよく回ることが確認できました。
鉛蓄電池の出力。期待通り2.0Vを示しました
実験の模様は以上のようになりました。片付けをして、さあ解散、という前に、レポートの宿題があることを伝えました。大学の学生実験でも毎回実験レポートが出されるものであることを説明し、レポートの構成として、「目的、理論、実験、観察結果、検証・考察」を含めて書いてもらいます。そして、書いた内容をお互いに共有し、相手の優れた考察力などのいいところを吸収できるような場を設けることにします。
ちなみに、化学実験の有資格者(甲種危険物取扱者免状所持者)である塾長が指導・監修を行っております。一般の方は決して真似をされませんように、お願い致します。