化学基礎から化学へつなぐ【高校・化学基礎講座】

宇部高や慶進中高一貫コースの学年末試験も終わり、本講座では、教科書1冊の内容を終えたタイミングとなりました。

理系選択者にとって、次に待ち構えているのが「化学」という教科書です。旧課程の「化学Ⅱ」よりも内容(単位数)が多く、教科書も分厚いので、大変な教科であることは間違いありません。

私自身の経験上、化学では「実体験」に基づく感覚的な要素がとても重要だと感じています。活字のみからでももちろん理解はできますが、実体験があると理解に至るスピードが変わってくるはずです。

このような信念から、毎年この時期からは実験重視で体験的学習を深める授業を行っており、今年は今日から連続3回も実験を行う予定を立てました。

化学基礎の最後は「酸化還元」がテーマで、次の教科書ではその酸化還元の延長として、「電気分解」という計算分野があります。

そこで、化学基礎から化学へ橋渡しをするために、電気分解について理解を深めることにしました。

ホワイトボードに書く電気分解の回路図やイラストでもイメージを伝えることはできますが、では、1回解説して、何かその類題を解かせて自力で解けるかというと、宇部高生でもほとんどが「解けません」(といいますか、ほぼ、ペンが動きません)。

どうしてなのかというと、やはりイメージが浮かばないからだと思います。

このあたりが、長年化学を教えてきて、平面(紙やホワイトボード)で教えることの限界なのだと痛感しています。

そこで、3次元的なアプローチが必要なわけです。

実際に装置を組み立てること、つまり、電源装置と電流計、電圧計を適切に配置し、電気分解に使用する銅板を切ったり、硫酸銅の水溶液を仕込んだりといった過程を通じて、難しいことに対して楽しみながら五感でイメージしていきます。

この、「楽しみながら学習する」というところが学習の本質だと信じています。勉強により忍耐力は確実につきますが、それだけでは上限は見えています。決して苦しいことばかりに耐えるのが勉強ではなく、学問本来の「面白さ」に気づけば、上限を突破することができます。

「なるほど…」とか、「不思議だな…」といったことを、紙面でも感じることはできますが、さらに高次元に、五感で感じることが必要なのです。

このような体験を生徒たちに少しでも踏ませるべく、1回目の実験を終えました。

電流値の時間的変化を矩形法で積分し、陽極での酸化反応、銅イオンの還元による金属の析出といった現象を目で確認しつつ、精密天秤を使って測定します。

それをもとに計算をするのですが、計算をしないと実験も先に進まないので、必然的に「あれ、どうだったかな」と考えるわけです。もしくは、チームの友達に聞いたりするのです。

ただ紙を使って個別に学習をさせると、別に解けなくても大きな害はないのですが、実験の場面では解けないと害があるため、「前に進めよう」という力の出し方が変わるのです。

また来週も、様々な生徒たちの工夫や知恵が見れるのを楽しみにしています。

化学基礎2017c
組み立てた電気分解の装置

化学基礎2017a
陰極側では、見事な銅樹ができました

化学基礎2017b
電極を丁寧に洗浄して、乾燥後、質量を測定します

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