宇部高校への探究科導入に係る地域説明会に参加しました

宇部高校と下関西高校では、来春から「理数科」がなくなり、「探究科」という新しい科が導入されることが決定しました。

本日、県の説明会に参加してきましたので、概要をお伝えしたいと思います。

まず、「理数科とは違うの?」という質問に対しては、「違います。文系・理系両方の学科です。」ということです。探究科は人文社会科学科、自然科学科(合計で定員80名)の2学科から成り立っています。

なお、探究科導入により、「SGコース」はなくなります。SGH、SSHは探究科の両学科で引き続き実施されます。

探究科も普通科同様あくまでも大学進学に重点を置くわけですが、大学合格に向けた学力の達成方法として、従来の学習スタイルに「研究」という視点を付加するものです。さらに、「答えが1つに定まらない問題に解を見いだし、新たな価値を創造していく力(資料より引用)」を育むための探究科です。

そのための授業改革のコンセプトは、各地で注目を集めているキーワード、「アクティブ・ラーニング」とのことです。つまり、見通しを持った取り組みによる「主体的な学び」、他者との相互作用により考えを深める「対話的な学び」、問題解決を念頭に置いた「深い学び」を学びの3本柱に置いていることが説明されました。

これで、「知識×時間=学力」であったものを、「(知識+探究活動)×時間=学力」と変えていくというわけです。

この具体的な実現方法として、従来の理数科SSHでの学習方法をさらに体系化させたものを展開していくようです。

紹介のスライドでは、ある学生の研究報告を引用してSSHの面白さを紹介していました。これは、スーパーボールが跳ねるという簡単な現象を、物理的な斜衝突や反発係数などから数式化して解析した研究結果の報告で、非常に興味の引かれる内容でした。確かに、このスライドを見れば、宇部高が進める研究活動のイメージ(大学に近いものであること)は分かります。

以上のように、3年間を通じた研究活動を1つの軸にし、英文での研究論文作成などを通じた総合的な学習により、(これは私見ですが)「体系的な学習の仕方を学習するコース」であるとも言えそうです。

また、部活動を積極的に行っていくという姿勢も変えず、従来通り、文武両道のスタイルで進めるということです。

さて、来年度の宇部高受験に関わる話をしてみます。

まず、普通科の定員が40名削減され、160名になりますから、普通科を狙うには、ますます狭き門となります。ちなみに、探究科は80名が定員ですから、幸い、合計で240名という募集定員には変わりはありません。

なお、推薦制度は従来の理数科(推薦枠12名)で存在していましたが、これは、探究科でも継続されます(推薦枠は24名)。つまり、推薦枠は従来の2倍に増えることになります(結果、普通科がますます難しくなりそうです)。とにかく宇部高を、という方には推薦制度を活用することを優先すべきでしょう。

探究科は人文系、自然科学系の2学科(2クラス)に分かれていますが、1年次は一括募集(科の区別なし)となります。つまり、従来制度で理数科志望の生徒も、とりあえず探究科を受験することが必要です。

入学後、2年次に人文系と自然科学系に分かれます。この際に、希望者の偏りが予想され、自然科学系が多くなり、1クラスに収まらないなどの心配があるのですが、これについて私から質問をしたところ、「合計3クラスになる可能性について、対応する用意がある」とのことです。

また、宇部高では従来、「普通科第一志望→理数科第二志望」という申し込みの仕方が一般的でしたが、探究科導入でどう変わるのかは全く未定です。受験倍率も予想することはできません。

新しい取り組みに対して、不安感があることも否めないと思います。参加者の中から、「県教委の意気込み」を述べてほしいと要望する声もあがり、それに対し、山口県での探究科の設置が、モデルとなった京都の高校の単なる後追いではないことなどが語られました。

本当に概要でしかありませんが、以上を情報として得ることができました。

宇部高合格発表2016c
宇部高校

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