今月上旬の週末に、春期講習として英語の特別講義を実施しました。
これまで、公立中学内では上位側に位置するような学力の3年生でも「英語のつくりの理屈(文法)」が分かっていないことを数多く見てきました。
たとえば、英会話が流ちょうにできる生徒でも、学校英語のテストで全く100点に届かないことがあるのですが、これは「フィーリング的なつくり」は分かっているものの、「英語のつくりの理屈」を正確に問う学校英語では太刀打ちできないことが原因の一つです。
また、多くの生徒は、穴埋め問題や整序問題(単語を正しく並べ替える問題)ではある程度できる(それでも間違えますが…)のに、ノーヒントの「英作文」となると全くできないという生徒も多くみられます。
最近の山口県の入試の傾向でも、ある場面の絵を示し、それに対しての「英文を書かせる」出題が増えていますので、「ノーヒントで書く」技術が問われています。
ここで、つぎのような簡単な日本語(中学2年の文法で書けるものです)について考えてみます。
もし、これをお読みのご家庭に公立中学3年の子どもさんがおられましたら、ぜひ英語で書いてもらってみて下さい。
①今日はお父さんのコンピュータを使わないでください。
②母は毎日するべきことがたくさんあります。
③あなたは昨年どの教科が好きでしたか。
④きのうわたしはナンシー(Nancy)と話ができてうれしかった。
解答を後ろの方に載せております。ちなみに、採点は厳密に行ってください。単語のミス、前置詞のミスでも×です。
本当に簡単な日本語なのですが、塾生でも、このような水準の問題を7題挙げて解かせたところ、満点となった生徒は多くありませんでした。
このような基本的な文章も正しく翻訳することができないとなりますと、整序問題でさえも間違ってしまうことは当然のことです。
私自身がどのようにして中学生が扱う日本語を英語にしているのかを、昨年、かなりの時間を割いて丁寧に分析してみました。また、過年度の生徒たちをトレーニングする中で、共通して間違うポイントがあることに気づいており、指導しながら書きためておりました。
この共通した認識違いを集中的に矯正してしまえば、英語の学力が短時間に向上するのではないかと考え、昨年、暗記させるための基本用語カードを作り、何度か試験的に使用した上で、この春休みを利用して一通り完成させました。
学校では150人中10番台になるような人でさえも、今の時期の3年生に英作文に取り組ませると、20~50%程度の正解率にしかならないことが経験的に分かっています。そして、このツールを使用した講義(国文法にまで及んだ学習をしました)と演習を行い、今年度のアドバンス3年生に英文のつくりを徹底的に理解させる時間を取り、何度も何度も繰り返し演習して頂きました。
結果、参加者の全員が英語を書くことに慣れ、類題の正答率が大きく上がってきました。特に、最初解けなかった生徒がぐんと伸び、講座の最終日の確認テストでは、上位生の水準に近付いた方が複数名おりました。
また、今月に習熟度テストが実施された学校の生徒の結果では、今まで英語で取れなかったような得点を出した生徒が複数おり、嬉しい報告をしてくれました。
これほど結果に直結したことに私自身が大変驚きましたが、「理屈を理解すること」で、正しい英文が書けたり、自分自身のミスに気づいたりできたのだと思います。
改めて、英語のつくりの学習の意義を強く感じました。
<解答>
①今日はお父さんのコンピュータを使わないでください。
Please don’t use your father’s computer today.
Don’t use your father’s computer today, please.
Please don’t use the computer of your father today.
②母は毎日するべきことがたくさんあります。
My mother has a lot of things to do every day.
My mother has many things to do every day.
③あなたは昨年どの教科が好きでしたか。
Which subject did you like last year?
What subject did you like last year?
④きのうわたしはナンシーと話ができてうれしかった。
I was happy to talk with Nancy yesterday.
I was glad to talk with Nancy yesterday.