12月13日は双子座流星群の極大日でした。朝のニュースでも流れたこの天体ショーを一目見ようと、夜、望遠鏡を担いで竜王山公園に出向きました。
流星群でどうして望遠鏡を?と思われるかもしれませんが、今は木星の観望に絶好の時期だからです。つまり、地球と木星と太陽が一直線に並ぶ、「衝」という状況に近く、見かけの大きさ(視直径)が最大になるからです。
最近、塾の授業後に夜道を歩いていると、天頂近くに他のどの恒星よりも明るく、威厳のある光を放っている星が見えるのですが、これが木星で、天気や月の関係などで条件のいいときに観測してみたいと、ずっと気になっていました。
それが、ちょうど今日は新月でなおかつ流星群も見られるということと、雨雲レーダーの動きでも夜通し快晴が見込まれたので、子どもを連れて見に行くことにしたのです。
竜王山では、流星群を一目見ようと時々車が山頂目指して走っていくのが見られました。そんな中、少し道から外れた暗いところで望遠鏡を組み立て、木星の観測の準備を行いました。
まだ流星の極大時刻には早かったので、まずは木星を観測しました。まずは50倍から。視野の中央にまばゆく輝く小さな円形の天体が見え、周囲に3つの衛星が光っていることがすぐに確認できました。通常、4つの衛星が見えるのですが、たまたま1つが裏か表にあるのだろうと思いつつ、倍率を上げていきました。大きさと明るさとシャープさのバランスがもっともいい170倍にし、木星の縞模様がはっきり5本見えたときは思わず固唾をのみました。
子ども達が見たがっていた「大赤斑」は見えず、また次の機会にと思いましたが(後に確認したところ、ちょうど裏側にあったようです)、1本の縞の上に黒い小さな円が見え、なんだろうと思っていました。
それから、いったん望遠鏡からは離れ、流星の観測です。しばらくすると、1等星並の明るい流星が何本も比較的ゆっくりと移動して消えていくのが見え始めました。地面に寝そべって空を眺め、明るい流星が見えるたびに歓声の連続です。
その他、M(メシエ)1のかに星雲やM42のオリオン座大星雲などを観測しました。そしてまた木星を見たときに、先ほどの黒い点が移動しているのに気づきました。これは「衛星の影」だと思い、しばらく観測を続けていくと、わずか30分のうちに、木星の地平線の端から小さな丸い天体が現れ始めたのです。
後に調べたところ、これは木星の衛星の一つ、「イオ」でした。イオは、現在でも活火山による激しい噴火が続いている衛星です。強い重力を持つ木星から近い距離を高速で公転しているため、衛星の中心部がかき乱されていることによるためと考えられています。
衛星がみるみる巨大な惑星の地平線上に見え、また、離れていく様子に、子どものようにわくわくさせられた一夜となりました。
天文シミュレーターでの映像。今日は木星を周回する主な5つの衛星が手前に並びました。