未来のエンジニアを育てる

年に数回送られてくる東京大学の同窓会の会報の今号で、光触媒で知られる藤嶋先生(東京大学特別栄誉教授)の記事が載っており、大変懐かしみながら記事を読ませて頂きました。

酸化チタンの光触媒効果を、当時大学院生だった藤嶋先生が世界で初めて発見され、ネイチャー誌に論文が掲載されたのが1972年で今から44年も前のことです。

私が1991年、大学院の学生だった当時にも、東京大学5号館(工学部棟)にて藤嶋先生(当時、教授)の講義を受けており、光触媒についての講義がとても印象的だったことを鮮明に覚えています。

大発見のもととなった酸化チタンの単結晶についてウィキペディアでは、「偶然入手した」と記述されています。ところが、会報の記事を読むと、この物質を入手された経緯が詳しく書かれていますが、実は「偶然」ではなかったようです。

先生が単結晶欲しさに、自らその製造会社の社長あてに手紙まで書き、入手したといったエピソードは、「なんとしてでも」という執着心、さらにはそのもととなっている「探求心」が新発見のもとになっていることを示しています。

さて、この春、中学校の教科書が改訂され、宇部・山陽小野田市立中学、付属中学で採択の理科の教科書には、「日本の技」というコラムの中で光触媒について詳細に紹介されており、興味深く読んでいました。

高校生の化学の資料集にも藤嶋先生の名前とともに光触媒の技術が紹介されています。

今回の教科書では、日本人が成し遂げてきた偉業が積極的に紹介されて、日本が好きになるようなつくりになっているように思います。これからを担う学生に、未来のエンジニアとして育ってほしいという国の期待が感じられます。

私もかつての化学の研究者という経験を生かして、微力ながら、小学生の探Q教室や高校生向けの化学基礎講座などで、化学の面白さをますます伝えていこうと思います。

光触媒2016c
会報の記事(「親和会会報36号」から引用)

光触媒2016a
中学校の教科書での光触媒の紹介記事(「啓林館・未来へひろがるサイエンス3」から引用)

光触媒2016b
高校生向け資料集の記事(「数研出版・フォトサイエンス化学図録」から引用)

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