この先、夏期講習などをはさむことになるため、しばらく実験教室を開催することができないことから、今月も実施することにしました。
今回のテーマは水素ガスの製造方法についてのもので、天然ガスなどの化石燃料の次世代燃料として日本をはじめ世界じゅうでその新しい製法の研究が進められています。
太陽光などの再生可能エネルギーから得た電力によって、水を電気分解する手法が産業的にあり得る1つの製造法になると予想しますが、その効率を上げるため、雲や雨、夜のない宇宙空間で恒久的に発電した電力を地球に送信する技術開発の現状や、地上で人工太陽を作る研究で日本人が活躍する場面を話しますと、生徒たちはやや興奮気味に聞いてくれました。
実験室では、希塩酸に金属マグネシウムを加えて水素を発生させます。その時、激しく水素の泡を出しながらマグネシウムが溶けていく様子とその際の発熱を感じて、みな驚いておりました。
- 2HCl + Mg → MgCl2 + H2
発生した気体は、水上置換法によって捕集します。こういった用語も、テキストでは学習するものですが、その装置を組み立て、実際に捕集し、集めた気体の体積を測定するといった一連のことを自分の手でじっくり行えることはなかなか経験できないのではないかと思います。
私は常に、子どもたちに、そういった生きた体験により、自然に対する驚きを感じたり感動したりする経験をすることが学習において重要だという信念がありますので、非常に大切にしています。
さて、入試問題でもグラフを元にした出題は多く見られますが、その「グラフを作ること」はあまり経験できるものではありません。方眼用紙の小さな目盛りを一つひとつ数えながら、細かい小数点の値(例えば、0.534といったもの)を正しい位置にプロットするのに大変苦労しました。
このような経験を積んでおくと、理科のグラフ出題型の問題を解く際に、どのようにグラフを読み解いたらいいのかが感覚的に理解できるようになるため、受験に向けてもとてもいいトレーニングになりました。
この日は、様々な気づきや感想などをノートに記録して会を終えました。また近いうちに、グラフに関するトレーニングを含めた実験を計画したいと思います。