化学の研究について(2)(新物質発見!)

(続き)天然ガス(主成分はメタンCH4)から一酸化炭素と水素を合成し、次いで、一酸化炭素と水素から炭素が複数複数つながった炭化水素(簡単に言えばガソリン)を合成する研究を行っていました。これは、利用価値の低い天然ガスを、価値あるガソリンに変換して、有効利用しようとする、世界的なエネルギー問題の解決のための研究課題です。

特に第一段目の反応では炭素の析出による反応装置の閉塞が問題で、反応活性が持続する触媒の開発が望まれていました。

当時の常識では、安価なニッケル系酸化物を酸化アルミニウムに担持した触媒が一般的であり、日揮化学などの大手の化学メーカーもその製法での触媒を販売しています。

この触媒の製造は300℃程度の温度により実施することが常識で、これ以上にすると性能が大きく低下します。

私は、前に紹介した東大教授(セラミック開発の権威)の授業をヒントに、800℃という高温で処理することで特異的な物質が合成されることを発見したのです。

私自身は小中学生の頃から、自宅で実験をよくしており、鉛や亜鉛をるつぼに入れて火で溶かしたりすることは日常的(?)でしたので、高温に対する恐怖心がなかったことがよかったのだと思います。

化学の研究をする上では、温度、圧力、毒性など幅広い化学に関する知識がないと、恐怖心も出てくるため、新たなチャレンジがしにくくなってしまいます。学校教育でも、より一層実験などを取り入れて、化学に対して親近感を持てるような教育が進むことが望まれます。(続く)

東大写真2011a
東京大学

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